「いとしんがやらなきゃ誰がやる」誰一人取り残させない決意

糸魚川信用組合

2024年6月25日

昭和26年に設立した糸魚川信用組合は、「いとしん」の愛称で市民に親しまれ、糸魚川地域に欠かすことのできない存在です。その理由は、糸魚川信用組合設立の経緯に由来します。昭和25年の糸魚川けんか祭りの際、街の商店が屋台を出店するための資金が集まらず困っていました。当時、個人や小さい企業に融資してくれる銀行が無い時代だったため、市民の有志が立ち上がり設立した金融機関が、糸魚川信用組合です。

金融機関の多くは効率化により業務内容を縮小していく中、糸魚川信用組合は「まちの存亡は、いとしんの存亡」という信念のもと、たとえ時代に逆行していても、地域の人々の生活に寄り添った活動を続けてきました。

今回は、金融一般事務と融資・渉外営業の職員を募集します。
まずは、他の金融機関との違いと糸魚川信用組合の特徴について、平野嘉生理事長にお話を伺いました。

「糸魚川信用組合は、糸魚川市に本店がある唯一の金融機関で、営業エリアは糸魚川市、上越市、妙高市の区域に限られています。銀行は全国の企業と取引可能な営利法人ですが、信用組合は営業エリアを限定し、主に小規模事業者で構成される組合員の『相互扶助（互いに助け合うこと）』によって営まれる非営利法人です。当組合の最も特徴的なところは、金融機関の仕事は一切しない『まちづくり推進室』があることですね。」

このまちづくり推進室は、糸魚川市・能生町・青海町が合併した際に発足された部署。これまで、糸魚川駅北大火をきっかけに始まった「いといがわマルシェ」やクーポンブック「糸魚川得本」、糸魚川市デジタル地域通貨「翠ペイ」などの事務局を担ってきました。

「まちが消滅してしまったら地元の金融機関も必要なくなってしまいます。地域内循環を促す様々な取り組みを、この部署を中心に仕掛けています。」

ここからは、勤続4年目の矢嶋さんと勤続2年目の山下さんにも加わっていただきます。お二人共現在は、融資渉外係で営業の仕事をされています。

矢嶋さんから、融資渉外係の仕事内容について教えていただきました。

「法人や個人のお客様のところに伺って、預金や融資などのご相談を受けたり、お手続きをしたりしています。お金の話はデリケートですし、初対面でなかなか心の中を打ち明けていただくのは難しいのですが、『この人になら話してもいいかな』と思っていただけるような関係づくりを心掛けています。」

実際にお金にまつわること以外でも、矢嶋さんに日常生活の困りごとをお話されるお客様も多いそうです。

「お客様と何度も直接お会いする中で信頼していただけて、何でも話していただける関係になった時には、頑張って良かったなとすごくやりがいを感じます。」

昨年入社し、融資渉外係に配属されてまだ3ヵ月の山下さんは、お客様との信頼関係を構築するために試行錯誤の毎日だ。

「まだ分からないことも多いですが、とにかくお客様のお話を丁寧に伺うことを大切にしています。お客様に8割話していただく感覚で、気持ちよくお話いただけるよう意識しています。お客様から『ちょっと来てくれんかね』とお電話をいただくことがあり、頼りにしていただけていると実感しました。」

新入職員はまず内勤で、窓口業務やオペレーション業務（入出金を端末で操作する）を経験しながら、金融の知識を身に付けます。その後、本人の希望や適性を見つつ配属先が決まりますが、可能な限り全ての職員に一度は渉外係を経験してもらうようにしているそうです。渉外係を経験することは間違いなく成長に繋がると、平野理事長は話します。

「まずは金融に関する知識が増えますし、顔見知りのお客様も増えます。窓口にいると企業の担当者としか接点がなく表面的な部分しか見えませんが、外回りでは必然的に企業の内部に入っていくことになります。決算書を見たり資金繰りの相談をされたりと台所事情が分かるわけです。若い時に外回りを経験しておきたいという職員もいれば、やはり抵抗がある職員もいます。ですが、自分が向いていないと思い込んでいるだけで、実際はお客様からの評判が良いこともあるんですよ。」

渉外係を経験した後に窓口業務に戻ってくると、以前よりもお客様との信頼関係が築けているので、気軽に相談していただけるようになるそうです。

地域でのボランティア活動にも積極的に取り組んでいる糸魚川信用組合。店舗の周りや駅前のごみ拾い、年1回行っている海岸清掃など、全職員が参加しています。職員の心には、地元に貢献したいという想いが根付いています。
矢嶋さんも山下さんも、入職のきっかけは「地元の金融機関であること」でした。矢嶋さんは糸魚川信用組合に決めた理由について、このように話します。

「自然が豊かで家族もいる糸魚川が好きなんですよね。企業見学の際にはとてもアットホームな雰囲気を感じて、私も糸魚川信用組合の職員として地元の皆さんの生活を支えていきたいと思いました。」

山下さんには、目標にしている先輩がいます。余裕がある雰囲気でどんな状況でも落ち着いているところを尊敬しているのだそうです。

「どの先輩も質問すると丁寧に教えてくださり、優しく接してくださるので働きやすい環境です。時間はかかるかもしれませんが、目標にしている先輩のようにお客様や周りの職員から頼りにされる存在になりたいです。」

平野理事長は、職員との関わりの中で大切にされていることはありますか？

「若い人の意見は大事なのでなるべく聞きたいですね。理事長面談を年1回行っているのですが、その時には職員全員と一人ずつ話します。仕事の悩みや家庭の事情など、長い方は40分くらい。結構疲れるんですよ（笑）。それでも、話を聞くことによって私がその職員のことを理解できるようになるし、職員には私がどのような考えを持っているのか知ってもらうことができる大事な時間なので、これからも続けていきたいと思っています。」

糸魚川信用組合では、ゴルフコンペやボーリング大会、観劇などを行い、職員が職場の話を一切しない時間を共有することも大切にされています。職員同士のコミュニケーションが深まる大事なイベントになっているそうです。

「職員がプロの俳優による演劇や劇団四季のミュージカルを鑑賞し、お客様に感動を与えるプロの仕事とはどういうものかと気付いてもらい、我々も信用組合のプロの職員として自覚を持ち、日々の業務に当たってくれることを期待しています。」

今回の取材の中で、最も「いとしんらしさ」に溢れていた話題は、年金サービスについてでした。糸魚川信用組合では、年金の受取口座に指定してくださっているお客様に対して、年金支給日にご自宅へ年金（現金）をお届けするサービスを行っています。さらに、毎年の誕生日にはプレゼントもお届けしています。平野理事長から、誇りを持って続けているサービスだと教えていただきました。

「移動手段が無く、年金を引き出しに来られないお年寄りもいます。古いスタイルかもしれませんが、取り残される人がいると分かっていて、効率化という一言で切り捨てることはできません。口コミで評判が広まり、毎年当組合を年金の指定口座にしてくださる方が増えています。」

他の金融機関では、同様の年金サービスや集金は業務効率化から廃止されたそうです。

「もちろん手間も経費も掛かりますが、市民のために信用組合をつくったわけですから、私たちが存在する価値として今のスタイルを変えるつもりはありません。」

平野理事長はこれからも、糸魚川経済を元気にするまちづくりと、若者が生き生きと働ける環境づくりに尽力されるそうです。

「いとしんが無くなったら糸魚川経済は終わりだというくらいの気概を持って、糸魚川の存続のためにチャレンジしていきます。」

お客様の夢を叶え、幸せな生活をサポートできるお仕事です。故郷に愛着を持ち、人と人との縁を大切にしながら働きたい方のご応募をお待ちしています。

募集要項

応募フォーム